



この世界が、まだ青い息吹だけで形づくられていた頃。
星々が歌い、海がまだ記憶を持っていた時代に、
最初に地上へ降りた“神殿”は、石でも、塔でも、天の使いでもなかった。
それは一頭のクジラだった。
彼らは“原初の運び手(ファースト・ベアラー)”と呼ばれ、
その身体の中には、天と地をつなぐ光の宮殿が宿っていた。
宮殿の中央で輝く光柱は、
宇宙から降りる叡智の道であり、
星の子らはその光を通って海へと生まれた。
クジラが泳ぐたび、
海は星の言葉を学び、
潮は宇宙の鼓動を真似た。
やがて彼らは深海へと姿を消したが、
星殿に刻まれた光の文様は、
今もわたしたちの魂の奥で静かに呼び続けている。
「帰っておいで。
あなたの本当の名が眠る場所へ」
原初のクジラは、
いまも深海で
“創造の夜明け”を守り続けている。